(ごぼっ)
スーの中で精液が放たれた。
これで何百回の射精だろうか。スーはその感覚にも反応しなかった。
男がじぶんの服を着て牢を出ると。牢に元の静けさが戻った。
スーはベットに両腕を鎖で拘束されていた。両手の拘束されている
部分は化膿して酷い傷になっていた。
スーは暗い牢の中で身動き一つしないで、端から見ると死体だった。
スー自身も自分が生きているか、死んでいるか分からなかった。
ただ分かることは、時々男達が自分を好きなように犯す感覚だけだった。
そのとき、城の奥の方が騒がしくなった。そしてしばらくすると、戦いの音がした。
スーにとってはどうでも良かった。
が、しばらくするとスーのいる牢獄に何者かが入ってきた。
(また犯されるのか…。)
スーがかすかに残っている意識でそう考えると、スーのいる牢獄の扉が開いた。
「スー!!」
しかし、その声はどこか聞き覚えのある声だった。
スーが体に残っている力をふりしぼって首をもたげると、
そこには数人の男と女がいた。その中の一人はスーの祖父の
ダヤンだった。スーは夢でも見ているのかと思っているうちに。
一人の女がスーの拘束されている鎖をはずした。
「スー、すまぬ遅くなってしまった。」
ダヤンがスーに駆け寄って来た。
「じじ…うっ、ひぐぅぅ。」
スーの目から涙が溢れた。
沢山流した涙の中で、
始めて嬉しくて流した涙だった。
ダヤンはベットに横たわっているスーを抱き上げた。
(だいぶ軽くなったな……。)
体中傷だらけで、肩も折れそうなほど細くなっていた。
ダヤン達は一時、軍の駐屯地へ撤退した。
1時間後……
スーを診察していた女医が部屋から出てきた。
「妊娠はしてませんが、ただ…・。」
「ただ?」
ダヤン達が医者に尋ねた。
「病気にかかっているんです。おそらく、犯した兵士達にうつされたのでしょう。」
女医はそれ以上言おうとしなかった。
「症状はどんなものなのだ?」
「悪性の腫瘍です…。」
「頼む、どんな薬でも揃えてみせる。だから孫を、スーを助けてくれ!!」
「…・・・無理です……。」
「何故だ!!!!」
ダヤンが女医につかみかかった。
「腫瘍が全身に転移していて、もう手の施しようが
無いんです。手遅れです…・・。」
「そんな……。」
ダヤンがその場に崩れ落ちた。
「余命は?」
「もって一週間、延命処置をしても一ヶ月が限度です。」
「せっかく、せっかく助け出したというのに…………。」
しばらくして、ダヤンはスーのいる病室に入った。
病室は薄暗くて、カンテラの炎が部屋を照らしていた。
スーはベットに横になってじっと天井を見つめていた。
「スー、実は…・・。」
「私、もう長くないのでしょう?。」
「聞いていたのか……。」
「えぇ、でも自分でもそんな気がしてた。」
「住まぬ、わしがもう少し早く助けにきていれば
こんなコトにはならなんだろうに…。」
「じじ、自分を責めないで。人はいつか死ぬ。
こうなることが私の運命だったのよ。」
二人はもう何も言おうとしなかった。
その夜
「んっ、くぅ…。」
スーの病室から甘い声が漏れていた。
スーは自慰に没頭し指が自分の秘部をまさぐる度に、
愛液のいやらしい音がした。
「あっ、ああぁ!!」
スーの体がびくんと震えるとスーは絶頂を迎えてぐったりとした。
スーは自慰などほとんどしたことがなかったが、いまは違った。
たとえ、自分の運命だとしても死が怖くない人間などいない。
スーも同じだった。いつ死ぬかも知れない、そのことを
一時でも忘れることができる方法で、今のスーができることと言ったら
それくらいしかなかった。
そして、数週間がたった。
スーの病状は次第に悪化していった。
そしてある日の午後、ダヤン達の所に女医の助手が走ってきた。
「お孫さんが、危篤です。」
その言葉を聞くと、ダヤン達は急いで病室に向かった。
病室には、女医とスーの二だけがいた。
「スー!!」
ダヤンがベットに駆け寄ると、スーは目を開けた。
「じじ…どこ?」
スーは目を開けているが、もう視力は失われていた。
「ここだ…ここにいるぞ。」
ダヤンは、スーの手を握った。その手には
力はなく、顔や手からも血の気が引いていた。
「じじ、いまま…で育て…てくれてあり…がとう。
私…もう一度…馬で…サ…カの草原を…はし・・りたかっ・た…。」
「スー!スー!」
ダヤンの呼びかけにもスーは反応しなかった。
「二人だけにさせてあげよう。」
スーの最後を看取っていたロイ達が部屋をあとにした。
そして、部屋からはダヤンの泣く声が聞こえた。
最後に